請求書を扱うツールを作る海外の会社が、AIで作ったページを2万2,000本以上、自社のブログに公開しました。ある日、Google検索から来る人が一晩でゼロになり、半年後にはGoogleの検索結果に載っているのはトップページ1枚だけになりました。
この記事では、何が起きたか、Googleが何を問題にしているか、そして「AIでブログ記事を量産すれば稼げる」と考えたときに、代わりに何をすればよいかが分かります。
注記:この記事の数字は、本人(会社)が書いていること、または出典にある見積もりです。

この事例が実在することの確認
- 元のページ:We Got Hit by a Google Penalty After Publishing 22,000 AI Pages. Here’s What Happened.(Tailride のブログ、執筆 Miki Palet)
- 公開日:2025年7月30日
- 研究所が確かめた日:2026年10月28日


本文の数字は、この元のページに本人が書いていることです。
この事例のまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | Tailride(旧名 GetInvoice)。メールなどから請求書を集めて、会計ソフトへ送るツールの会社 |
| ジャンル | 会社のブログ(検索からの集客) |
| 稼ぎ方 | 検索で来た人に、自社ツールへ登録してもらう |
| 月の売上 | 非公開(2025年2月時点で「いくらかの登録と成約があった」とだけ書かれています) |
| 初期費用 | 非公開(ページを作る流れは自社で組んだ、と本人が説明) |
| 最初の売上までの期間 | 非公開 |
| 週の作業時間 | 非公開 |
| 集客の場所 | Google検索 |
| 顔出し・通話・対面 | 集客の方法としては不要(検索だけ)。ただし会社の事例で、執筆者の名前は公開されています |
| 続けるとしくみになるか | 検索からの集客は、しくみになりえます。ただしこの事例では、量産したページが一晩で止まりました |
| 出典 | 会社自身の振り返り記事(2025-07-30、執筆者 Miki Palet)。数字はすべて本人の申告 |
出典:Tailride「We Got Hit by a Google Penalty After Publishing 22,000 AI Pages. Here’s What Happened.」(公開 2025-07-30/確認日 2026-10-28)
個人の副業ではなく、会社の事例です。それでも取り上げるのは、「AIで記事をたくさん作れば、検索から人が来る」という考え方が、どこで行き詰まるかを数字つきで残している、めずらしい記録だからです。
どう作り、どう増やしたか(時間の順)

ここからの内容は、会社の振り返り記事を短くまとめたものです。「」で示した本人の言葉は、英語の原文を研究所が日本語にしたものです。
出典:Tailride「We Got Hit by a Google Penalty After Publishing 22,000 AI Pages. Here’s What Happened.」(公開 2025-07-30/確認日 2026-10-28)。この節の内容はすべてこのページによります
2024年11月:ツールを公開しました。同じころ、検索から人を集めるために、ブログのページを自動で作り始めます。
最初の約300ページ:お店ごとの「返品ルール」を説明するページでした。中身は1ページ200語前後と少なく、どのページにも同じ「返品のしかた」の段落が入っていました。それでも検索の上位に出て、手ごたえがあったといいます。
数か月で2万2,000本超へ:手ごたえを受けて、種類を広げました。
- 国際送金で使う銀行の番号(SWIFTコード)のページ:約4,000本
- お金の用語を説明するページ:約5,000本
- ほかにも数種類(内訳は書かれていません)
作り方は、次の流れだったと書かれています。
- ほかのサイトから元になる文章を集める
- AIに、ブログ記事の形へ書き直させる
- そのまま自動で公開する
本人はこう書いています。「出てきた文章を人の目で見直さず、そのまま公開していた」。SWIFTコードのページは同じ内容の繰り返しが多く、そのページならではの中身がなかったこと、用語のページは自社のツールと関係がなかったことも、本人が認めています。
2025年2月:Google検索から、1日約130回クリックされていました。本人は「買う気の強い人が検索する言葉ではなかった」とも書いています。

2025年2月28日:検索からの流入が、一晩でゼロになりました。

その後、振り返りを書いた2025年7月まで:Googleの検索結果に載っていたページ(Googleが「検索結果に出せる」と登録しているページの一覧にあったもの)が、2万本以上から、トップページ1枚だけになりました。
本人は「その後の6か月で」と書いています(振り返りの公開は2025年7月30日なので、おおよその期間です)。

2025年7月10日:名前を GetInvoice から Tailride に変え、新しいドメイン(サイトの住所)で出直しました。理由は2つあり、検索から来る人を失ったことに加えて、似た名前の別の会社から名前の使用をやめるよう求められたことも挙げています。
つまずいたこと・撤退の理由
出典:Tailride の振り返り記事(公開 2025-07-30/確認日 2026-10-28)。この節の本人の言葉と数字はすべてこのページによります
警告は来なかった
Googleには、サイトの持ち主向けの無料の管理画面(Search Console。検索の成績表のようなものです)があります。人が調べて違反と判断すると、ここに「手動による対策」の通知が届きます。
この事例では、その通知はなかったと本人は書いています。「通知もない。警告もない」。そのため本人は、人が調べたのではなく、Googleの自動のしくみ(アルゴリズム)で外されたのだろうと考えています。
原因は本人も「はっきりとは分からない」と書いており、確定していません。
なお、2025年3月13日からGoogleの大きな更新(コアアップデート)が始まっていますが、本人は「流入が落ちたのはその約2週間前なので、原因ではないと思う」と書いています。
本人が挙げた理由
本人が考える理由は、次の4つです。
- 中身が薄く、AIで書き直しただけの文章だった
- 自社のツールと関係のない言葉で検索の上位を狙っていた(例:洋服のお店の返品ルール)
- まだ信用のない新しいサイトで、急に大量のページを出した
- 運営者の信頼を示す材料が少なかった
ページを消しても戻らなかった
検索から来る人が落ちたあと、この方法で作ったページはすべて消しました。それでも「回復の兆しは一度もなかった」とあります。最終的に名前とサイトを変えることになり、元のサイトの検索での積み上げは失われました。
出直したあとのやり方
新しいサイトでは、やり方を大きく変えています。
- 自社のツールに直接関係する言葉だけを選ぶ(例:「請求書の管理のしかた」)
- 1日1本程度(別の箇所では「1日1〜2本」)に減らす。本人の言葉では「500本ではなく、1日1本の質の高いページ」
- 人が書いて、人が直す。AIは構成づくりなどの手伝いに使うことはあるが、全部を自動にはしない
結果については「また検索に出るようになったが、流入はまだ大きくない」と書かれています(2025-07-30時点、本人が書いていること)。
本人のまとめは「AIそのものが問題だったのではない。量と質と信頼の問題だった」というものです。
Googleは何を問題にしているか
ここは、Googleの公式の説明を、確かめた日付つきで短くまとめます。
作り方ではなく、目的と中身
Googleは2023年2月8日のブログで、「作り方を問わず、質の高いコンテンツを評価する」と書いています。同じ記事で、検索の順位を不自然に動かすことを主な目的として、AIなどの自動のしくみで文章を作ることは、スパムに関するポリシーの違反だとも書いています。
出典:Google 検索セントラル ブログ「Google Search’s guidance about AI-generated content」(公開 2023-02-08/確認日 2026-10-28)
つまり、AIで書いたこと自体ではなく、「順位を取るためだけに、読む人の役に立たないものを作ること」が問題とされています。
「大量生成されたコンテンツの不正使用」
2024年3月5日、Googleは、スパム(検索結果をじゃまする、質の低いページ)に関するルール(ポリシー)に、新しい項目を加えたと発表しました。日本語のページでの名前は「大量生成されたコンテンツの不正使用」です(英語では scaled content abuse)。
出典:Google 検索セントラル ブログ「March 2024 core update and new spam policies」(公開 2024-03-05/確認日 2026-10-28)
日本語ページ(2026-09-02更新、2026-10-28確認)の説明を、短くそのまま載せます。
ユーザーをサポートすることではなく、検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成すること
出典:Google 検索セントラル「Google 検索のスパムに関するポリシー」(日本語)(最終更新 2026-09-02/確認日 2026-10-28)

例として、次のようなものが挙げられています(短くまとめたもの)。
- 生成AIなどで、読む人にとっての価値を足さずに、大量のページを作ること
- ほかのサイトの文章などを集めて、ほとんど価値のない大量のページを作ること(言い換えや翻訳でごまかすものを含む)
- 複数のページの文章を、価値を足さずにつなぎ合わせること
Tailrideの作り方(ほかのサイトから集める → AIで書き直す → 見直さずに公開)は、この例とよく重なります。ただし、Googleが Tailride を名指しで判断したわけではありません。ここは研究所の見立てです。
同じページには、違反したサイトは「検索結果で順位が下がるか、まったく表示されなくなる」こと、違反は自動のしくみで見つけ、必要なら人が調べて見つけることも書かれています。通知が来ないまま落ちることもありうる、ということです。
自分に問いかける質問
Googleの「ユーザー第一のコンテンツ」の説明(日本語ページ、2026-10-07更新)には、書いた人が自分に問いかける質問が並んでいます。その1つが「コンテンツは、独自の情報、レポート、研究、分析を提供していますか」です。量産したページは、ここでつまずきやすくなります。
出典:Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」(日本語)(最終更新 2026-10-07/確認日 2026-10-28)
比べておきたい例:真似してはいけない「SEO heist」
もう1つ、よく話題にされる例があります。倫理的に問題があり、真似してはいけない例として、短く紹介します。
2023年11月24日、Jake Ward という人がXに、会計の計画ツール Causal のために行った取り組みを投稿しました。本人は「SEO heist(検索の強盗)」と呼んでいます。
競合サイト(ライバルのサイト)のページの一覧を写し取り、同じ題でAIに約1,800本の記事を書かせた、という内容です。本人の話では、18か月で累計360万アクセス、月に約49万アクセスを「競合から奪った」としています。
出典:Jake Ward のXの投稿(Thread Reader でまとめたもの)(投稿 2023-11-24/確認日 2026-10-28)

この投稿は強い批判を受けました。米国の Business Insider の記事(2023年12月、Yahoo版の更新日は2023-12-19)によると、Ahrefs(検索から来る人の数を見積もる有料ツール)の見積もりで、Causal のサイトへ検索から来た人は、2023年10月上旬の週61万以上から、12月中旬には週約19万に減りました。
記事は、専門家の一部が、人が調べて下した対策ではないかと疑った一方で、「対策があったとは確認できない」という専門家の発言も載せています。Googleは個別のサイトへのコメントを断っています。
まねされた側のサイトの運営者は、AIの記事に事実の誤りがあったと指摘しています。
出典:Business Insider(Yahoo版)「Audacious new schemes known as ‘SEO heists’ are posing thorny questions for Google」(Rob Price)(Yahoo版の更新日 2023-12-19/確認日 2026-10-28)。流入の数字は Ahrefs による第三者の推計です
2つの例に共通するのは、ほかの人が作ったものを土台に、価値を足さずに量を出したことです。違うのは、Causal の例はライバルを狙って写した点で、検索のしくみの問題である前に、人のものを取る行為だという点です。
日本でやるなら
日本の副業でやりがちな形
日本の副業でも、「AIにブログ記事を書かせて、毎日たくさん公開し、広告やアフィリエイト(紹介して報酬を得るしくみ)で稼ぐ」という考え方は目にします。Tailride の事例は会社のものですが、作り方の大まかな流れは同じです。
- 検索されそうな言葉を並べる
- ほかのサイトの情報をAIにまとめさせる
- 見直さずに公開する
Googleのスパムに関するポリシーは、日本語の検索にも同じように書かれています(日本語ページ 2026-09-02更新)。言葉が日本語なら大丈夫、ということはありません。
出典:Google 検索セントラル「Google 検索のスパムに関するポリシー」(日本語)(最終更新 2026-09-02/確認日 2026-10-28)
代わりに何をするか
Tailride が出直したやり方と、Googleの質問を合わせると、次の3つにまとめられます。
- 一次情報を入れる。 自分で買った・使った・試した記録、かかったお金と時間、失敗したこと。ほかのサイトにない情報は、ほかのサイトの言い換えでは作れません
- 事例を集める。 人に話を聞く、公開されている記録を出典つきで整理する。この研究所も、誰にでも言える話の記事を量産せず、事例を1件1ページ、共通の項目で書く方針にしています
- 売るもの・紹介するものに近い題だけを書く。 Tailride も、当時集めていた言葉は「買う気の強い人が検索する言葉ではなかった」と振り返り、出直したあとは自社のツールに関係する言葉だけに絞りました。
数より「その記事を読んだ人が、次に何をするか」で題を選びます
AIは、構成を考える、誤字を見つける、といった手伝いに使えます。Tailride も出直したあと、その使い方をしています。

規約・制度で気をつける点(2026-10-28時点で確かめた範囲)
- Googleのスパムに関するポリシー:「大量生成されたコンテンツの不正使用」に当たらないか。AIを使うかどうかではなく、読む人への価値を足しているかが問われます
- 広告であることの表示:2023年10月1日から、広告であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」は、景品表示法(商品やサービスについて、うそや大げさな表示を禁じる法律)の違反になりました(消費者庁)。ルールの対象になるのは広告を出す会社ですが、アフィリエイト(紹介料がもらえるしくみ)のリンクを載せる記事には、「PR」などの表記を入れておくと安心です
- 他人の文章や構成を写さない:ほかのサイトの文章をAIで言い換えて載せることは、Googleの例にも挙がっているうえ、著作権の面でも問題になりえます
出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制」(施行 2023-10-01/確認日 2026-10-28)
この型が合う人・合わない人
ここでの「型」は、検索からの集客を、記事を書いて積み上げるやり方のことです。
合う人
- 自分で試したこと、調べたことを、記録として残すのが苦にならない人
- 1日1本、またはもっと少ないペースでも、半年以上続けられる人
- すぐの売上より、積み上がる集客を作りたい人
合わない人
- 「数を出せば当たる」と考えて、短期間で大量に出したい人
- 自分の経験や取材なしに、ほかのサイトのまとめで済ませたい人
- 集客を検索1本に頼りたい人(この事例のように、一度に止まることがあります。SNSやメールなど、検索以外の集客先も持っておくと安心です)
研究所のまとめ
- AIで書いたことより、「価値を足さずに量を出したこと」が問われる。 Googleの公式の説明も、本人の振り返りも、同じところを指しています
- 落ちるときは、通知なしで一晩のことがある。 そして、ページを消しても戻るとは限りません。この事例では、名前とサイトを変えて出直すことになりました
- 積み上がるのは、ほかにない情報だけ。 自分で試した記録、事例、数字。それを、売るものに近い題で、続けられるペースで書く。Tailride が出直したあとに選んだのも、このやり方でした(成果はまだ途中、と本人は書いています)
この記事は、2026年10月28日時点の情報をもとに書いています。Googleのポリシーは更新されることがあるため、最新の内容は出典のページで確かめてください。
更新日:2026-10-28


