顔を出さずに有料ニュースレターで月約46万円:会社員のまま匿名で始めた海外の事例

事例

アメリカのEC(ネット通販)の会社で働いていた男性が、本名も顔も出さずに、有料のニュースレター(メールで届く会員向けの記事)を始めました。名前は「BowTiedOpossum」。

蝶ネクタイをしたオポッサム(北米の動物)のイラストがアイコンです。

始めて9か月で、売上は月約46万円になったと本人は話しています。

この記事では、ドルの金額を1ドル=155円で円に直して書いています。

出典:Starter Story「How I Anonymously Launched A Newsletter While Keeping My Day Job [$3K/Month]」(題名の金額は月約46万円。公開日 2022-06-29/確認日 2026-10-28)

ところが4年後、本人は「Opossum is Dead(オポッサムは死んだ)」という記事を出し、匿名をやめて名前を明かしました。

この記事では、どんな中身を、いくらで、どう届けていたのか。なぜ更新が止まり、匿名をやめたのか。そして日本で同じことをやるときの条件をまとめました。

注記:売上の数字は本人の申告です(2022年6月29日公開のインタビュー)。第三者が確かめた数字ではありません。

この事例が実在することの確認

  • 元のページ①:Starter Story のインタビュー記事(起業した人に書面で答えてもらう海外のサイト。公開日 2022年6月29日)
  • 元のページ②:本人のニュースレター「WiFi Money」の記事「Opossum is Dead」(公開日 2025年12月28日)
  • 研究所が確かめた日:2026年10月28日
研究所が2026-10-28に取得した元ページ①の画面。題名に「[$3K/Month]」(月約46万円)、本人の紹介欄に「$6K REVENUE/MO」(月約93万円)とあり、数字が食い違っている。黄色の枠は題名の「Keeping My Day Job(会社員を続けながら)」
研究所が2026-10-28に取得した元ページ①の画面。題名に「[$3K/Month]」(月約46万円)、本人の紹介欄に「$6K REVENUE/MO」(月約93万円)とあり、数字が食い違っている。黄色の枠は題名の「Keeping My Day Job(会社員を続けながら)」出典:Starter Story
研究所が2026-10-28に取得した元ページ②の画面。黄色の枠は本文で引用した箇所(「It was just too much」=さすがに無理だった)
研究所が2026-10-28に取得した元ページ②の画面。黄色の枠は本文で引用した箇所(「It was just too much」=さすがに無理だった)出典:WiFi Money「Opossum is Dead」

本文の数字は、この2つの元のページの本人の発言(申告)と、ニュースレターの公開ページの表示です。

ひと目で分かる:この事例の要点

項目 内容
ジャンル EC・ネットのマーケティングの実務(アフィリエイト、Shopify、WordPress、アクセスの計測など)
稼ぎ方 有料ニュースレター(Substackの月額購読)
料金 月約1,550円/年約1万5,500円(2026-10-28 にページの料金データで確認)
月の売上 月約46万円(開始から9か月の時点。本人の申告)。同じページの紹介欄には「月約93万円」ともあり、どちらが正しいかは分からない
購読者 「Over 17,000 subscribers(1万7,000人以上。無料を含む)」の表示(2026-10-28)。有料の人数は公表なし
初期費用 非公開(本人は、もともと持っていたサイトとドメインを使い回したと話している)
最初の売上までの期間 非公開(有料プランは開始の日〔2021年7月29日〕から用意されていた)
週の作業時間 非公開。本人は「本業、外部の相談の仕事、自分の事業、家族と子どもの合間に」育てたと話している
集客の場所 X(旧Twitter)。本人は「一番の入口」と話している
顔出し・通話・対面 顔出しなし。本名も出さない。読者との通話・対面はなし
続けると装置になるか 書く人が本人1人なので、本人が書けなくなると止まる。実際に2024年からほぼ止まった
出典 本人の申告(Starter Story 2022-06-29、Opossum is Dead 2025-12-28)、ニュースレターの公開ページ

※「」で示した本人の言葉は、英語の原文を研究所が訳したものです。

どう作り、どう回してきたか

1. なぜ匿名にしたのか:「本業に飛び火させないため」

本人は、軍にいたあと、国の防衛の仕事をする技術者でした。機密を扱う資格を持っていたため、SNSに自分を出さないことが当たり前の環境だったと書いています。

その後、ECの会社に移り、インタビューの時点では「あなたもたぶん知っているブランドの、EC部門の下っ端の役員」だと自己紹介しています。

匿名にした理由について、本人はこう書いています。

ネットで匿名を選ぶ人は多い。いちばんの理由は、自由に話せることと、現実の仕事に飛び火する心配なく副業ができることだ。

出典:Starter Story(公開日 2022-06-29/確認日 2026-10-28)

本人がニュースレターとSNSで使っているアイコン。蝶ネクタイのオポッサムのイラストで、本人の顔は出していない
本人がニュースレターとSNSで使っているアイコン。蝶ネクタイのオポッサムのイラストで、本人の顔は出していない出典:WiFi Money

2. 入口はX:匿名のアカウントで、ECの解説を投稿した

始め方は単純でした。匿名のメールアドレスとXのアカウントを作り、ECの実務の解説を投稿します。

転機は、同じく匿名で発信していた大きなアカウント(BowTiedBull)に、自分の投稿をリポスト(再投稿)されたことです。フォロワーは「110人くらいから、1日で数百人に」増えたと話しています。

本人は「Xが、購読者を連れてくる一番の入口」と書いています。動画より文章のほうが、自分の読者に合っていたそうです。

出典:Starter Story(公開日 2022-06-29/確認日 2026-10-28)

3. 「本気でお金にするか、やめるか」で有料にした

フォロワーが増えたところで、本人は「本気でお金にするか、やめるかのどちらかだった」と考え、Substack(海外のニュースレターの配信サービス)で有料のニュースレターを始めます。2021年7月のことです。

ニュースレターの公開ページのデータを研究所が見たところ、有料プランは最初の記事と同じ日(2021年7月29日)に作られていました。 無料で読者を集めてから有料にしたのではなく、最初から有料の入口を置いていたことになります。

今の料金は、月約1,550円、または年約1万5,500円です(2026年10月28日にページの料金データで確認)。

出典:WiFi Money(本人のニュースレター)の紹介ページ(確認日 2026-10-28)

4. 無料と有料を、ほぼ半分ずつ出し分けた

研究所は、ニュースレターの公開の記事一覧から、記事の本数を数えました(2026年10月28日時点)。

年 記事の数 うち有料の人だけが読める記事
2021年(7〜12月) 33本 18本
2022年 52本 29本
2023年 29本 16本
2024年 2本 1本
2025年 1本 0本

出典:研究所が WiFi Money の記事一覧 で数えた(確認日 2026-10-28。本人は「古い記事は書き直しながら消していく」と書いているため、今後は数が変わる可能性があります)

2022年は1年で52本、ほぼ週1本です。無料の記事は「月1回の質問への回答まとめ」や入門記事、有料の記事は「Shopify入門(全7回)」「WordPress入門(全4回)」のような、手を動かすための手順の連載が中心でした。

無料で「この人は分かっている」と思ってもらい、続きの手順を有料で読ませる形です。

図1:無料と有料の出し分け
図1:無料と有料の出し分け出典:Starter StoryとWiFi Moneyをもとに匿名ビジネス研究所が作成

5. 9か月で月約46万円

本人の発言では、9か月で月約46万円まで育ちました。料金が月約1,550円なので、換算前の金額どうしで単純に割ると約300人分です(年払いの割引があるので、あくまで目安です。この計算は研究所によるもの)。

ただし、同じインタビューのページの紹介欄には「月約93万円」とも書かれています。どちらが正しいのかは、ページからは分かりません。この記事では、本文の発言(月約46万円)を使います。

出典:Starter Story(公開日 2022-06-29/確認日 2026-10-28)

本人は、記事の半分以上を「読者との会話」から作っていると話しています。助言として挙げているのは、「考えるのも、計画するのも、読むのもやめて、手を動かせ」「マーケティングと販売は、外注できない」です。

つまずいたこと・気をつけること

つまずき1:Substackは、検索からほとんど人が来なかった

本人は「自分のSubstackが、検索でほとんど上位に出ないことに驚いている」と書いています。多くのSubstackで同じことが起きているとも話しています。

入口がXだけだと、Xの調子に左右されます。本人は、検索から人が来る道を作るのが課題だと話していました。

出典:Starter Story(公開日 2022-06-29/確認日 2026-10-28)

つまずき2:本業が大きくなり、ニュースレターが止まった

記事の数の表のとおり、更新は2023年から減り、2024年1月を最後に、ほぼ止まりました。

本人は2025年12月の記事で、その理由を書いています。

全部できると思っていた。良い夫に、良い父親になれると。アメリカで一番伸びている口の中のケア用品のブランドを、少ない人数で、外からお金を入れずに育てながら。正気を保ち、Xを続け、このSubstackも続けながら。
間違っていた。
さすがに無理だった(It was just too much)。健康を崩し、人間関係も崩した。

出典:WiFi Money「Opossum is Dead」(公開日 2025-12-28/確認日 2026-10-28)

本人は、歯みがき粉のブランド「NOBS」の「表に出ていなかった3人目の共同経営者」でした。そちらの仕事が大きくなり、ニュースレターは後回しになったのです。

書く人が本人1人のニュースレターは、本人の時間が取られると、そのまま止まります。 これは「収益装置」として見たときの、いちばんの弱点です。

図2:4年半の流れ
図2:4年半の流れ出典:WiFi Moneyの記事一覧とOpossum is Deadをもとに匿名ビジネス研究所が作成

つまずき3:事業が大きくなるほど、匿名を続けにくくなった

本人は、匿名をやめた理由をこう書いています。

このブランドを運営するうちに、やりたいことをやり遂げるために、どんどん表に出ざるを得なくなった。
残念だが、その生活は終わった。「残念」と言うのは、私は人に知られない暮らしが好きだったからだ。もし選べるなら、いつでも非公開を選んでほしい。
このブランドのこれからのために、もう選択肢がなくなった。

出典:WiFi Money「Opossum is Dead」(公開日 2025-12-28/確認日 2026-10-28)

研究所が2026-10-28に取得した元ページ②の画面。購読のお誘いの枠に「Over 17,000 subscribers(1万7,000人以上)」と表示されている(黄色の枠)
研究所が2026-10-28に取得した元ページ②の画面。購読のお誘いの枠に「Over 17,000 subscribers(1万7,000人以上)」と表示されている(黄色の枠)出典:WiFi Money「Opossum is Dead」

匿名をやめた理由は、ニュースレターではなく、物を売るブランドのほうでした。ただ、本人は「匿名でなくなった今のほうが、SubstackもSNSも続けやすい」とも書いています。

名前を隠すこと自体にも、手間がかかっていたことがうかがえます。

ここから見えるのは、匿名は「始める」には強いけれど、事業の形によっては「続ける」途中で手放すことになる、ということです。

日本でやるなら

ここからは研究所の分析です。制度は2026年10月28日に公式ページで確かめた範囲で書いています。

夜、机の上のノートパソコンに、メールのニュースレターの下書き画面が映っている。横にコーヒーと手帳。人の顔は写さない(文字なし)
記事内容をもとにしたイメージ画像出典:匿名ビジネス研究所制作

売り場:有料の記事を、月額で届ける

形は同じです。無料の発信で読者を集め、続きや深掘りを月額で読んでもらいます。海外では Substack が代表的で、日本でも有料の記事や月額の会員を扱うサービスがあります。

Substack の場合、手数料は売上の10%に加えて、決済会社(Stripe)の手数料がかかります。

出典:Substack「How do paid subscriptions on Substack work?」(公開日 2022-11-24/確認日 2026-10-28)

どのサービスでも、手数料と、お金の受け取り方(どの国の口座に、どう振り込まれるか)は、始める前に公式ページで確かめてください。

匿名でも、「売る人の情報」は求められる

日本で、ネットで有料の記事を売るのは、法律の上では「通信販売」です。特定商取引法という法律で、広告(販売ページ)には売る人の氏名・住所・電話番号などを表示することが決められています。

ただし、消費者庁の説明では、「請求があれば、遅滞なく(すぐに)書面やメールで知らせる」と販売ページに書き、実際にすぐ知らせられる準備をしていれば、氏名・住所・電話番号の表示を省略できるとされています。

出典:消費者庁「通信販売|特定商取引法ガイド」(更新日の記載なし/確認日 2026-10-28)

つまり、公に名前を出さないことはできても、求められれば名前と連絡先を知らせる義務は残ります。 また、お金を受け取るには、決済サービスに本人確認や口座の登録が必要です。研究所が言う「匿名」は、世の中に顔と名前を出さないという意味で、手続きの上で身元を隠すことではありません。

テーマは「自分が仕事で毎日やっていること」

この事例が9か月で月約46万円に届いた理由の1つは、テーマが本人の本業(ECの実務)そのものだったことです。毎日の仕事の中に、書くネタがありました。

日本でやるなら、次の点に気をつけます。

  • 本業の会社の情報は書かない:会社の名前・数字・社外秘の話は出さない。本人も「どのブランドか」は最後まで書いていませんでした
  • 会社の決まりを確かめる:副業を禁じていないか、届け出が要らないかを、就業規則で確かめる
  • お金の儲け話・投資の話を売らない:「これを買えば儲かる」型の有料配信は、トラブルの元になりやすく、研究所は勧めません

研究所がこの型を日本でやるなら、こうします

  • 最初の3か月は、無料の発信だけで「質問が来るか」を見る:本人も、記事の半分以上を読者との会話から作っていました。質問が来ないテーマは、有料にしても読まれにくい
  • 有料の入口は、最初から置いておく:本人は初日から有料プランを用意していました。無料の記事の終わりに「続きは有料で」と案内できる形にしておく
  • 入口を2つ以上にする:Xだけに頼らず、検索から来てもらえる記事も置く。本人も「検索から人が来ない」ことを課題にしていました
  • 「自分が書けなくなったら止まる」前提で、書く量を決める:週1本を無理なく続けられる量にする。本人は、本業が大きくなったところで止まりました
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この型が合う人・合わない人

合う人

  • 本業や長く続けてきたことで、人に説明できる知識がある人
  • 文章を書くのが苦にならず、週1本くらいなら続けられる人
  • 顔も声も出さずに、文章だけで信頼を得たい人
  • 読者からの質問に、文章で答えるのが好きな人

合わない人

  • 書けるテーマがまだ決まっていない人(「書くことがない」は、この型では一番早く止まる理由です)
  • 早く大きな収益がほしい人(この事例でも、9か月で月約46万円でした)
  • 本業や家族の予定で、毎週の時間が取れない人(本人が止まったのも、ここでした)
  • 書く人を自分以外に増やせない形で、長く続けたい人

研究所のまとめ

  1. 会社員のまま、名前も顔も出さずに、有料ニュースレターで月約46万円に届いた事例です(開始から9か月、本人の申告)。入口はX、中身は本業の実務の手順、料金は月約1,550円でした。
  2. 無料と有料をほぼ半分ずつ出し分け、2022年はほぼ週1本書いていました。 無料で信頼を得て、続きを有料で読ませる形です。
  3. 弱点は「本人が書けなくなると止まる」ことです。 本業が大きくなると更新が止まり、表に出る必要が出て匿名もやめました。日本でまねるなら、無理なく続く量と、入口を2つ以上にすることを先に決めます。

この記事は2026年10月28日時点の情報です。売上の数字は2022年6月の本人の申告で、その後の売上は公表されていません。サービスの手数料や法律の運用は変わることがあるため、始める前に公式ページで最新の内容を確かめてください。

最終更新日:2026-10-28